任意売却後に残ったローンはどうなるの?
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忙しい方は目次からどうぞ
任意売却しても債務は無くなるわけではありません
住宅ローンの支払いがきつくなり、任意売却を選択したとしても残債が無くなるわけではありません。
仮に、
住宅ローンの残債=2200万円
実際の売却価格=1800万円
の場合で残る、残債400万円はこれからも支払う必要があるということです。
ただし、残債の支払い先は融資を受けた金融機関ではなくなります。
任意売却の仕組み「代位弁済(だいいべんさい)」
住宅ローンを組む際には、保証協会へ保証料を支払いますよね。保証料の支払い金額も、けっして安くはない金額です。
これは、銀行などの金融機関が保証協会に保証人になってもらうことで、貸し倒れのリスクを回避するために行われています。
なので、実際に債務者が住宅ローンを支払えなくなった場合には、保証協会から債権者である金融機関へ残債の弁済が行われます。
このことを「代位弁済」といいます。
なので、残ってしまった住宅ローンの残債は、保証会社やサービサーと呼ばれる債権回収会社に対して支払っていくことになります。
一般的には、住宅ローンを滞納してから3ヶ月後くらいには、銀行が保証会社に対して、「残債を一括返済してください」と請求がいき、代位弁済が行われます。
住宅ローンの残債の支払い条件は交渉次第
ローンの支払いが苦しくなり、任意売却をするということは、債務者は経済的にも困難な状態であることが予測されます。
保証会社やサービサーも、少しでも多く債権を回収したいというのが本音です。なので、残債の支払いに関しては、債務者の経済状況の中で支払い可能な金額を無理なく返して欲しいと思っています。
一般的には、月々の支払いが1~2万円程度に設定される場合が多いようです。
現実的に支払いが無理なくできる範囲でとの考慮がなされますので、そのときの状況によって、条件などは柔軟に対応してもらえる場合が多いため、正直に現状を話すようにしましょう。
ただし、いくら任意売却をしたからといっても、残った残債は債務者の借金です。少額とはいえ誠意をもって返済していくことが大切です。
任意売却後の月々の支払いが減額できるカラクリとは?
経済状況を配慮してもらって月々の支払いを減額までしてくれる。なんてステキなの?
と思われるかも知れませんが、これには少しからくりがあります。
実は、任意売却をして不動産の売却のお金を受け取った保証会社は、残りの債権を債権回収会社(サービサー)に売却をしています。
先ほどのケースでいうと、
残債2,200万円-売却金額1,800万円=400万円
この400万円の債権の権利を、保証会社がサービサーに売却しているのです。
場合によっては、銀行が直接サービサーに債権を売却する場合もあります。
住宅ローンの債権の場合は、家やマンションという担保がありますが、任意売却後の債権は無担保です。
月々の回収額も少なくなるため、回収にかかるコストとリスクを考えると、安くてもいいのでさっさと債権を売ってしまったほうがいいという考えなんですね。
保証会社としては、住宅購入時に支払われる保証料が、任意売却などで失われる損金を上回らなけばいいわけですから、面倒な債権などには興味が無いわけです。
住宅ローンを組む人の中で、任意売却をする人の割合を考えると、最初にもらう保証料で十分利益が出ているということですね。
債権はサービサーに格安で売却される?
この債権の売却価格っていくらくらいだと思いますか?
債権の売却価格は公表されないため、本当の金額は分かりませんが、おおよそ債権額の5%くらいだといわれています。回収困難な不良債権だと2~3%くらいの場合もあるようです。
仮にあなたの残債が400万円だったとして、5%であれば20万円です。
サービサーはあなたから20万円回収すれば、とりあえずの元は取れるということです。(回収にかかる経費があるので、本来はもう少しかかりますが)
そのため、少額でもいいから少しずつでも長く返していってほしいのです。
残債を減額してもらえるケースも?
サービサーに債権が渡っているということは、債務の減額をしてもらえるチャンスでもあります。
たとえ400万円の残債を100万円に減額したとしても、20万円で債権を購入しているのであれば、十分サービサーには利益が残ります。
サービサーとしても、回収できるかどうか分からない金額をだらだらと回収し続けるよりも、回収できる金額を早めに回収して、次の債権者の対応にあたったほうがましです。
もちろん、返済に対して誠意をもってというのが一番の条件ですが、現状で金銭面により生活が苦しい場合は、残債の減額の交渉は十分可能なのです。
残ったローンを減額する交渉について
このような理由から、任意売却をした後で住宅ローンがまだ残ったとしても、残債を減らすことも可能ですし、支払い金額を交渉することも可能です。
ただし、交渉する際には以下の2点には注意してください。
1.交渉には誠意をもって臨むこと
いくら支払いが苦しいといっても、借金をしたのは債務者自身です。
交渉には誠意をもって臨んでください。
現状を嘘偽りなく話し、無理のない範囲で出来る限りのことはやるという覚悟が必要です。
サービサーの担当者も鬼ではありません。腹を割って話し合いをすることで、双方納得できる解決策を見つける提案をしてくれるはずです。
2.交渉は専門家に相談する
できることなら、サービサーの交渉には専門家の力を借りるのが理想です。
例として、もし仮に、サービサーが任意売却前の債権を買い取っていたとします。
当然、債権自体はかなり安く買い取っているはずです。そうすると、任意売却によって受け取った売却代金で、すでに十分な利益が出ているケースもあります。
そのような場合であれば、交渉次第では残債がゼロになる可能性もまったくないわけではありません。
ただし、素人では状況も分かりませんし、このような強気の交渉はなかなかしづらいでしょう。
なので、任意売却するときには、専門家の力を借りて交渉を助けてもらったほうが、有利に働く場合が多いのです。
任意売却をするということは、人生を再スタートするということに等しい行為です。少しでも債務の額が少ないにこしたことはありません。
任意売却に関しては、無料で相談できる会社や機関もあります。任意売却を考えているのであれば、一度は相談してみるべきです。
まとめ
任意売却後に残った住宅ローンに関しては、
- 支払先は変わるが、残債は残る
- 月々の支払額などは現状を話し、交渉は可能
- 状況や条件によっては、減額してくれる場合もある
ということになります。
残債の支払いができない、または延滞してしまう場合は、債務整理や破産などを選択しなければならない場合もありますので、早めに専門機関に相談をして、最悪の事態を未然に防ぐようにしてください。