相続税を払うお金が無い!相続税の支払いに困ったときの3つの対処法
※当サイトの記事には、広告・プロ-モーションが含まれている場合があります
相続税の控除額を超える資産を相続してしまった場合、相続税を支払う現金が足りないということは珍しいことではありません。
相続税分のお金を用意できなかった場合の対処法としては、
- 相続した不動産を売却して現金を作る
- 延納制度を利用する
- 物納制度を利用する
この3通りの対処法があります。
忙しい方は目次からどうぞ
相続した不動産を売却して現金を作る
相続したものの中でも、現金ではなく不動産が多い場合は、用意ができるお金の額を相続税が上回ってしまうケースもあります。
相続税は、被相続人(主に両親)の死亡した日の翌日から10ヶ月以内に支払わなければならず、しかも基本的には現金での一括払いです。現実的には、そのような短期間で多額の現金を用意することは厳しいと言わざると得ません。
この場合に一番よくとられている対処法として、相続した不動産を売却して現金化し、相続税の支払いに充てるという方法です。
注意点としては、「相続した土地を実際に売却した場合にいくらになるかを正確に把握すること」です。
後で説明しますが、相続税の支払いを現金でできない場合には、相続税を物で納める「物納」という制度もあります。1,000万円の相続税に対し、評価額1,000万円の土地を現金の代わりに国に収めるということです。
しかし、相続した土地が、評価額は1,000万円だとしても、実際に売りに出してみると2,000万円で売れるということもあります。
こういった場合は、土地を売却して現金化し、相続税を納めた方が得なのです。
逆に、評価額が1,000万円の土地でも、売りにだしてみると800万円の値しか付かなかった場合には、物納として土地を納めた方が得になります。
これは、税務署が不動産の評価を市場の時価ではなく、たんなる評価額で評価することから起こります。
そのため、相続税の支払いが発生した場合には、早急に現在の市場価値を知っておく必要があります。これは、公示価格とか相場では無く、実際にどのくらいで売れるかの市場価格です。
早めに不動産の査定依頼をしておく
不動産の時価を知るには、不動産会社に査定を依頼するしかありません。早めに不動産会社へ査定依頼をしておきましょう。
相続してから10ヶ月以内に不動産を売却しないといけないというタイムリミットもありますし、市場価格を知って、物納にするかどうかの判断もしないといけません。
物納にするにしても、ものすごく面倒な手続きが必要になりますので、査定依頼は一日でも早くしておくことをおすすめします。
今は、ネットの不動産一括査定で、早く簡単に査定書を取り寄せることができます。複数社に査定依頼を一括して送ることができるので、面倒な査定依頼も一度の手間で済みますので便利です。
ちなみに、不動産一括査定サイトの中では、大手リクルートグループが運営する「SUUMO(スーモ)売却」がおすすすめ。
これは査定画面の一部ですが、「簡易査定」にチェックを入れておけば、不動産会社が家に来ることもなくしつこい営業などもありません。ただし、より正確な査定価格が知りたい場合は、「訪問査定」の方にチェックを入れておいてください。
延納制度を利用する
相続税の現金一括払いが困難な場合、延納といって分割払いにする方法もあります。しかし、延納には利子税といって利息を支払う必要や、場合によっては担保が必要となります。
最近は、相続した不動産を売却して相続税を納付する人が増えてきていますので、延納の申請件数は年々減少しています。
延納の要件
延納するには以下の要件を満たす必要があります。
- 相続税額が10万円を超えること。
- 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
- 延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。(ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。)
- 延納申請に係る相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。
引用元:相続税の延納【国税庁】
金銭で納付することを困難とありますが、これは相続した財産の範囲内で払えないから困難という意味ではなく、「相続した財産+相続人が固有に持つ財産」を合計した金銭のことですので注意してください。
延納できる期間と利子税の一覧
区分 | 延納期間 | 利子税 | |
相続財産の中の不動産等の割合3/4以上 | 不動産等にかかる部分 | 20年以内 | 年3.6%(2.3%) |
不動産等以外にかかる部分 | 10年以内 | 年5.4%(3.5%) | |
相続財産の中の不動産等の割合5/10以上 | 不動産等にかかる部分 | 15年以内 | 年3.6%(2.3%) |
不動産等以外にかかる部分 | 10年以内 | 年5.4%(3.5%) | |
()内の数字は、日本銀行が定める基準割引率(公定歩合)が0.75%の場合 |
物納制度を利用する
延納によっても相続税の納付を金銭で行うことが困難な場合は、現金で支払う代わりに物で支払う「物納」という制度もあります。
また、延納の支払いが何らかの理由で困難になった場合でも、相続税の申告から10年以内であれば、一定の金額を限度に物納に変更することもできます。
物納できる財産には優先順位があります
物納といっても、物をかきあつめてきて納めればいいわけではありません。物納できる財産には、優先順位が決められています。
- 第1順位 国債、地方債、不動産、船舶
- 第2順位 社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券
- 第3順位 動産
国は、物納された財産を金銭に変えて相続税の徴収とするため、財産自体に価値があり、必ず相続税が支払われるものを優先的に設定しているのです。
なので、不動産であっても、「担保権が設定されている」、「境界が不明である」、「権利関係の争いがある」などの理由があれば、管理処分不適格財産(物納できない財産)とみなされ、物納することはできません。
物納の要件は大変厳しく、素人では物納できるかどうかの判断は難しくなります。物納を考えた場合には、早めに税理士や司法書士などの専門家に相談するようにしてください。
まとめ
相続税の支払いのために、被相続人(両親など)が亡くなる前から、現金を準備していることは稀でしょう。
そのため、相続税が支払えない場合は、上記の3つの方法の中からどれかを選択するということになります。
いずれにせよ、相続税の支払いまでは10ヶ月しかありません。支払いに関する手続きも面倒なことが多いため、急な相続をしなければいけなくなった場合は、早急に正確な資産価値を調べて、専門家に早めに相談するようにしてください。
【ぶっちゃけ話】不動産会社に直接、査定依頼をしてはいけない理由
※業界内では言えない話しです。こっそりと読んでください。